だいたい自家製 ビリエットシェフブログ

自家製生ハムを始め自家製大好きなシェフの日記

アンチエイジングジビエ

当店の鹿肉の仕入れ先でもある静岡県富士宮ふもとっぱらキャンプ場に行ってきました。

目的は当店で提供している鹿肉の加工法、アンチエイジングジビエを商品化し販売の提案、実際食べてもらってのプレゼン

要は販売し易いジビエ肉の提案です

結果、大好評でした❗️
懸念していた保健所の問題も直ぐに電話してくれて問題無しとの事

商品化に向けかなり具体的な話となりました。

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富士宮で捕獲される鹿は年間約1200頭

そして処理場で食肉となる分は約300頭程

残り900頭はほぼ廃棄処分です

農林水産省ジビエ肉を売っていこうとなって成功しているモデル地区もありますが

これが日本のジビエ販売の実情

駆除される鹿やイノシシに対して圧倒的に処理場と出来る人が少なくシステムが未熟なのが原因です。

何故処理場や関わる人が少ないのか調べると売りづらくビジネスにならないから

ハンターさんは自治体に依頼されて駆除するけれど処理場に持って行っても手一杯で断られ、泣く泣く処分するという構図

売るにしても生肉は専門知識のある飲食店では使えるけれど、スーパーや道の駅では難しく大量に作れて保存の効くカレーやペット用飼料などになります。

売れないといっても、実際道の駅で売っている鹿やイノシシは酷い所は500g〜1k単位で部位ゴチャ混ぜのガチガチの冷凍だったりします。

一般の人は使い方がわからないから手に取りづらく、味を知る機会にはなりません。

鹿やイノシシのハムやソーセージもありますが、手間がかかるし技術も必要で高価にもなります。

という事は、手間をかけずに作れて美味しく食べ切りやすいサイズという、使い勝手のいい商品が求められると考えられます。

 


そこで思いついたのが、当店で普段から行なっているアンチエイジング加工(当店ではこう呼ぶ)した真空パックの鹿肉100〜200gに小分けした鹿肉の商品化です。

 


いわゆる“ドライエイジングビーフ”の、塊で一定の温度を保って長期熟成させ中身だけ美味しくする方法ではなく(熟成肉の肉の表面は食べられないので廃棄される)ロスなく肉本来の旨味を引き出せないかと思い考案しました。(dancyu 2016 10月号掲載)

当店のお肉はほぼ、この加工方法を仕込みとして行っています。

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作り方

肉100g〜500g(使い易い大きさ)に塩、オリーブオイル、ハーブ、ニンニクをミキサーで回したマリネ液に絡め水分が出ない内にラップに包み真空パックし、冷蔵庫で5日〜7日程寝かせる

 


効果

真空パックする事により肉の細胞が開きマリネ液が内部まで浸透しやすくなる。素早くパックする事により、浸透圧で水分の流出を極力防ぎ、肉本来の旨味を引き出します。冷凍しても美味しさは変わらず召し上がっていただけます。

 


・焼いた時に肉がパサつかずジューシーになる

・薄い塩味とハーブの香りが肉の中心まで入るのでソース無しでも美味しい

・シカやイノシシの肩ロース、外モモ等、本来固くてステーキに向かない部分も期間によって柔らかくなり旨味も増す

・長持ちする(冷蔵で14日程)

・使用分を小分けしてあるので仕込んでおけば営業中のオペレーションが良く、肉のメニューを豊富に作れる

・適度なマリネ期間後冷凍可能(解凍後約5日が賞味期限)

・少し焼き過ぎても美味しい=素人でも焼き易い、家庭でも使い易い、キャンプ飯等にも

・最初に用途によって小分けするのでロスが出難い

 


当店で召し上がって頂いた方には分かって頂けると思いますが、本当に柔らかく美味しくなります。

そしてこの加工法(ややこしいですが保健所のルールの関係で加工肉ではなく厳密には生肉の保存方法)が、今回協力していただく「ふもとっぱらキャンプ場」から全国に広まれば本当に最高です。自分の意見にも賛同していただき、本当に嬉しかった。

こちらはキャンプ場なので直ぐに食べてもらえるし、敷地内には鹿肉処理場と販売できる売店もある。おまけにバイクや自転車の趣味も合う方が担当でした😊

 


牛豚羊鶏肉はこれから先も高価になっていくのは目に見えてきました。今までの様に贅沢に使うやり方が持てはやされる時代から、上手に大事に使い切るやり方が評価される時代に変わっていくと思います。

当たり前の事ですが、肉だけでなく食材はロスなく大切に扱う事が大事です。人間の都合で駆除された動物達は特に。

代用品の大豆や昆虫食を食べざるを得ない未来にしたくないですね。

 


ジビエに関しては、そもそも人間の我儘で駆除されている訳だし鹿肉、イノシシ肉は美味しい、近頃では毎週のように牛豚鶏羊肉の値段も上がっています、美味しいのに棄てるなんて勿体ないですよね。草の根活動をしている方々もいらっしゃって、そんな現状に僕も一石を投じたい。

そしてここまで来られたのは日大の先生方や、先生にご紹介いただいたふもとっぱらの方々のおかげでもあります。

物価高の今年こそジビエ肉を広めるチャンス

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沢山の人に食べてもらって色んな所で販売できたら面白いね〜という事になっています。

まずは商品と一緒にお渡し出来る様、焼き方やレシピ等の作成

地元のフリーペーパーへレシピを載せてもらったりと販促のお手伝いから

これを見て面白いと思った自治体、ジビエ関係、処理場の方、特にマージンを取るとかは無いのでお気軽にご連絡下さいね。

頑張りますので乞うご期待‼️

  

   ビリエット オーナーシェフ 松島 望

 

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